「ちゅらさん」に見た、「親」という価値観

20年ほど前、NHKで「ちゅらさん」というドラマが放映されていた

沖縄を舞台にしたストーリーだ

人気のあったドラマなので覚えている方も多いと思う

当時20代だった僕は、仕事に行く前に毎日かかさず視聴していた

このドラマはヒロインの成長を中心に、笑いあり、人情劇ありと、とにかく明るく楽しめる内容だった

その中で、ひとつだけ疑問に思ったヒロインの行動があった

それは、ヒロインが4歳の息子に対してとった行動だった

ある日、息子はふとしたことで、知らない人から心ない扱いをされてしまう。

それをキッカケに心に不安をもつようになってしまった。
おそらく場面緘黙の症状だろう

知らない人を見ると話せなくなってしまったのだ

親や知っている人との会話は問題なくできるので、周りの大人は気づかなかったが、ヒロインは、その変化を敏感に感じ取る。
そして息子を連れ、病院で診察を受けた


医師は、「息子さんは成長と共に話せるようになってくるでしょう」という診断をする

当時の僕は、「そんなに深刻な状態じゃないなら、普通に息子が成長するのを見守っていけばいいんじゃないの」と、簡単に思った

しかしヒロインは想定外の行動にでる

都会での仕事を辞め、息子と2人で実家の島へ一時帰省する。
その島で息子を療養して少しでも早く障害を克服させたい、と強く思って。

当時の僕は、「なんでそこまでするの?普通の生活をしながら息子の成長を見守っていけばいいじゃん」と、テレビに向かって意見したくなった

あれから20年以上が経ち、小学生の息子をもつ現在

ちゅらさんのヒロインが、息子を島で療養させたいと突っ走った気持ちが痛いほど分かるようになった(ドラマの話だが・・)

息子が生まれて世の中の見え方が変わった

子どもへの虐待や、事故で失うなどの悲しいニュースを見ると、
涙なしでは見られなくなった

特に子ども虐待死のニュースはショッキングだ。
頭の中で3日間くらい内容がループする

他にも、吹雪の中、小学生の娘を守るため、娘に覆いかぶさり命がけで寒さから子どもを守り、自身は凍死した父親のニュースを見たときも、その親御さんの思いに涙しながら心の奥底で共感できるようになった

とかく、子どもを思う親の気持ちは、世の中を支える重要な柱だと感じるようになった

ちゅらさんのヒロインの行動は、今の僕なら納得できる

苦しんでいる子どもを見たら、その苦しみを1秒でも早く取り除いてあげたい

そんな親心を感じるようになった


大切なものを見失わない世の中であってほしいと願います