一人ぼっちの休み時間①~10才の息子の話

「5年間もずっと、休み時間は一人で過ごしているんだよ・・」

そう言ったあと妻は、なんとかしてあげたい、と小さく呟いて
頬を拭っていた。


「場面緘黙」(ばめんかんもく)
特定の状況に限り、声を出せなくなる状態のこと。

うちの息子の場合は「学校」がその特定の状況となっている。

場面緘黙の症状を持つ子の中には、言葉だけでなく身体も固まって動けなくなってしまう子もおられるようだ。

僕の息子は、そこまで症状は強くないのだが、学校の中では、クラスメートと会話をすることが苦手なようだ。


とは言え、学校以外では普通に会話をすることが出来てしまう。
そこが、この症状の特徴で障害に気づくのが難しい理由でもある。

大人になれば自然に治る人も珍しくなく、何も知らない人からしたら、
「ただの性格の問題じゃないの?」と思ってしまう。確かに僕も、息子のことが無ければ、同じように考えていたと思う。

しかし、当事者の子どもは声が出なくて苦しんでいる。
しかも、自身が苦しんでいることさえも理解できないほど未熟な子もいる。

学童期には、その「苦しみ」は
特別なことでは無いから我慢するしかない、と思いこんでしまう悲しさが存在するようだ。

一人ぼっちの休み時間を卒業させてあげたい。

そのために僕と妻が、どのように悩み、考え、行動しているか。

少しずつ話していければと思う。

そうして話しをすることで、今、同じような状況で苦しんでいる子どもや親御さんからアドバイスをもらえたりできるかもしれない。

また逆に励ますことが出来るかもしれない。

さらには、今までそういう障害を知らなかった人達への理解の一助となるかもしれないから。